基本情報技術者試験の出題形式が変わるって本当・・・?
どう変わるか教えて欲しい・・・
ITエンジニアの登竜門と呼ばれる国家資格である、基本情報技術者試験の出題形式が変更になると、IPA公式から発表がありました。
結構大きな変化がありますので、どのように変わったかこの記事で理解していきましょう。
変更の概要を把握して試験対策に取り組んでいきましょう。
本記事の内容- 基本情報技術者試験がどのように変わるのかがわかります
- 基本情報技術者試験の制度変更後のサンプル問題を見てみましょう
- 基本情報技術者試験の制度変更後の試験対策について
基本情報技術者試験がどのように変わるのかがわかります
それでは具体的にどのように変化があるのか見てきいましょう。
基本情報技術者試験がどのように変わるのか- その①:実施方式の変更
- その②:採点方式の変更
- その③:出題形式の変更
- その④:出題範囲の変更
その①:実施方式の変更
今までは年2回(上期/下期)の開催でしたが、2023年4月試験から通年試験へ変わります。
ITパスポートや情報セキュリティマネジメント試験と同じように随時受験することができます。
合格のチャンスが広がりますね!
その②:採点方式の変更
素点方式からIRT方式に変わります。
IRT:Item Response Theory(項目応答理論)
簡単に説明すると、素点方式のようなこの問題は3点というように決められておらず、受験者全体の解答結果によって問題の得点が変動するというものです。
例えば1問5点の4択の問題では勘でランダムに答えたとしても、25%の確率で正解し5点を獲得できます。
IRTは他の受験者の回答結果次第で配点に変動があります。
IRTの目的としては、運の要素を低減しつつ公平な結果を出すことができるということが挙げられます。
あのTOEICもIRTが採用されています!
その③:出題形式の変更
問題の出題形式が次のように変わります。
午前試験から科目A試験
午前試験(小問) | 科目A試験(小問) |
---|---|
試験時間:150分 出題数 :80問 解答数 :80問 | 試験時間:90分 出題数 :60問 解答数 :60問 |
午後試験から科目B試験
午後試験(大問) | 科目B試験(小問) |
---|---|
試験時間:150分 出題数 :11問 解答数 :5問 ※選択問題あり | 試験時間:100分 出題数 :20問 解答数 :20問 ※選択問題なし(全問必須) |
午後問題を大問形式から小問形式へ変更することによって、問題のコンパクト化、出題数・解答数の変更によって、試験時間を30~40%短縮することが目的です。
その④:出題範囲の変更
午後試験で出題されていた内容が科目B試験では変わります。
今回の変更で一番大きい変更となるのがココです。
科目 | 出題範囲の変更 |
---|---|
科目A試験 | 現在の午前試験に準じます。 |
科目B試験 | これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更します。 また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一します。 |
科目A試験は今までの午前試験の出題範囲と変更がありませんが、科目B試験は午後試験と比較して大きく変わります。
個別プログラミング言語を廃止し擬似言語へ統一
基本情報技術者試験の午後試験はアルゴリズムやプログラミングの問題がありました。
選択問題でプログラミング言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)のうち、得意なものを選択して解くという方式でした。
今回の変更でこれをやめ、擬似言語に統一することとなりました。
出題分野と出題割合の変更
科目B試験は、【アルゴリズムとプログラミング】と【情報セキュリティ】の2つの分野で構成されます。
分野別の出題割合は【アルゴリズムとプログラミング】が8割、【情報セキュリティ】が2割を想定していると記述があります。
今までの基本情報技術者試験の午後問題は、この他にソフトウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計、プロジェクトマネジメント、経営戦略・企業と法務などの分野が出題されていました。
しかし今回の新制度はアルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティの2つの分野に絞ったと言えます。
実際のプログラミングに必要な考え方の基礎を身につけさせたいという考えが見えますよね!
アルゴリズムとプログラミングの中でも3つのカテゴリに分類されています。
アルゴリズムとプログラミングの3つのカテゴリ分け- プログラムの基本要素
- データ構造及びアルゴリズム
- プログラミングの諸分野への適用
①プログラムの基本要素
プログラミングの基本的な記述についての問題です。
型、変数、配列、代入、算術演算、比較演算、論理演算、選択処理、繰返し処理、手続・関数の呼出しなど
②データ構造及びアルゴリズム
データ構造に関しての問題とプログラミング的な考え方が必要となるアルゴリズムの問題が出題されます。
再帰、スタック、キュー、木構造、グラフ、連結リスト、整列、文字列処理など
③プログラミングの諸分野への適用
少し①②とは違いプログラミングに関する他の分野を題材にした問題があるようです。
数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラムなど
次に科目Bのサンプル問題をみてみましょう!
基本情報技術者試験の制度変更後のサンプル問題を見てみましょう
大きく出題形式が変わるのは午後試験=科目Bです。
IPAから科目Bのサンプル問題が公開されていますので見てみましょう。
イメージがつかみやすくなります。
問1 次のプログラム中の □ に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。 ある施設の入場料は,0 歳から 3 歳までは 100 円,4 歳から 9 歳までは 300 円,10 歳以上 は 500 円である。関数 fee は,年齢を表す 0 以上の整数を引数として受け取り,入場料を返 す。 〔プログラム〕 ○整数型: fee(整数型: age) 整数型: ret if (age が 3 以下) ret ← 100 elseif ( □ ) ret ← 300 else ret ← 500 endif return ret 解答群 ア (age が 4 以上) and (age が 9 より小さい) イ (age が 4 と等しい) or (age が 9 と等しい) ウ (age が 4 より大きい) and (age が 9 以下) エ age が 4 以上 オ age が 4 より大きい カ age が 9 以下 キ age が 9 より小さい
このような問題が出題されるようです。
特筆すべき点- その①:大問から小問に変わることによる文章量の違い
- その②:全20問解答必須となる
- その③:疑似プログラミング言語の記述方法の違い
その①:大問から小問に変わることによる文章量の違い
基本情報技術者試験の午後問題は大問といって、長文の問題文を読んで各問に解答していく方式でしたが、小問に変わりコンパクトになります。
長文を読むことが苦手な方にとっては取り組みやすい変更になりました。
その②:全20問解答必須となる
基本情報技術者試験の午後問題は11問の中から5問を選択して解いていく方式でしたが、科目B試験では20問全問解答必須に変わります。
11問のうち解けそうな問題や得意な分野を選択することができましたが、これからは全ての問題を解く必要があるので、出題分野について広くカバーしておかなければなりません。
逆に選択する必要がなく全て解答すればいいので、解けそうな問題を選定する手間がなくなり、限られた試験時間を有効に使えます。
とはいえ解かなければならない問題が増えるので、よりスピーディーに答えを出す必要があります。
その③:疑似プログラミング言語の記述方法の違い
次の画像は基本情報技術者試験の午後問題に載っている、アルゴリズムやプログラミングの問題で使用される擬似言語の記述形式を説明したものです。
プログラミングで使われる条件分岐や繰り返し処理をこのように▲や■で表現していましたが、実際のプログラミングに近づけ、if、else、for、whileなどの表現に変わります。
実際午後試験に取り組んでいると、この独特の記述に戸惑ってしまい集中できないことがありました。
より実際のプログラミングに近い表現になることによって、プログラミング経験がある方にとっては解きやすくなるのではないでしょうか。
逆にプログラミング経験が無い方にとっては難しく見えるかもしれませんが、基本的なifやforなどの記述方法を学ぶ機会となります。
今回の変更はより実務に近い状態にしたいという考えが見て取れます。
基本情報技術者試験の制度変更後の試験対策について
試験制度変更の概要について説明しましたが、試験対策はどのように変わるのでしょうか?
制度変更後の試験対策- その①:午前問題=科目Aは過去問題に取り組む
- その②:午後問題=科目Bはサンプル問題を参考にする
- その③:オンライン講座で学習を進める
その①:午前問題=科目Aは過去問題に取り組む
科目A試験は今までの午前試験ですが、制度変更は制限時間と問題数のみで出題範囲は変更がありません。
そのため今まで通りの試験対策で問題ありません。
具体的には基本情報技術者過去問道場で過去問題を徹底的に解くことです。
こちらの記事で基本情報技術者試験の合格方法についてまとめていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
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その②:午後問題=科目Bはサンプル問題を参考にする
前述の通り、今までの午後問題である科目B試験は、出題形式が大きく変わりました。
制度が変わると過去問題に頼ることができませんが、サンプル問題が公開されていますのでこちらを参考にしない手はありません。
主催のIPAがPDFファイルを公開していますので早速落として解いてみましょう!
とは言っても、今までの午後試験の過去問題が参考にならないわけではありません。
分野別の出題割合は【アルゴリズムとプログラミングが8割、情報セキュリティが2割】を想定していると記述があります。
今までの午後試験の過去問題のうち、情報セキュリティとアルゴリズムやプログラミングの過去問題だけを解いていきましょう!
その③:オンライン講座で学習を進める
私がおすすめしているオンライン講座スタディングでは、2023年新試験制度対応版の講座も準備されています。
専門の講師が新制度に対応した試験対策を教えてくれますので、独学では難しい方や早く合格したい方にとって非常に強い味方です。
本気で合格を目指すならぜひとも活用すべきです。
こちらの記事でスタディングの特徴を詳しく解説していますのでぜひご覧ください!
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まとめ
いかがでしょうか?
2023年4月から基本情報技術者試験は大きく生まれ変わります。
受験も通年になり、日々の業務で忙しい駆け出しエンジニアやアルバイトで忙しい学生にも取り組みやすくなりました。
また、午後問題の出題形式も大問から小問になって選択問題がなくなったので、非常にシンプルになったという印象です。
この記事で変更となる内容について理解した上で、新制度版の基本情報技術者試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?